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ウォーキング

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ひとりでも、いつでも出来る健康法がウォーキングです。
大好きな音楽を聴きながら高い空や四季に咲く花をながめて歩くのです。
歩いていく先の空間がさわやかな雰囲気に満たされていきます。

専用の“ウォーキングシューズ”に履き替えましょう。(5,000円位)
ご自分の好きな曲を入れた“アイポット”などを用意すると楽しいです。
小さなリュックサックにポカリスエットやお茶をいれて背負うのです。

目的を定めてから歩き出しましょう。夕飯のおかずを買いに少々離れたマーケットに行ったり、電車を使って都内の名所旧跡を訪ねたり、陣馬高原を散策したり。

「趣味の散歩」 いききの道(いかだ道)

東京競馬場(府中)の東入場門より東方向へ200m程行きました所からこの道は始まります。植木鉢のたくさん並んだゆるやかな坂の小路をあがって行きますと、右側に多摩川方向の視野が徐々に明るく開けてきます。
登りきる頃、小さな御滝神社の上の所に出ます。境内には府中段丘崖横のハケから清水が湧き出ておりまして小さな滝となっております。有名な大国魂神社の例大祭(くらやみ祭り)の時には、「やぶさめ」などの神事を行なうにあたってこの清水で身を清めるのです。「清水ヶ丘」の地名はここに由来します。

そこから木立の多い静寂な小路をゆっくりと歩いて行きます。夏には「まむしに注意」という看板が出ます。私は今までに道を横切るかわいい彼女に2度程お目にかかりました。
少し行きますと右側の視野が大きく拡がり、富士山や丹沢山塊が一望されます。十二月冬至の頃にはちょうど富士の所に夕陽が沈み、見事な影富士が浮かび上がります。しばらく足をとどめてその景色を眺めましょう。

さらに陽が暮れていきますと東京から八王子方向にまっすぐに延びます中央高速のオレンジ色の外灯がともり、光の帯となります。
ユーミン(松任谷由美)の「中央フリーウェイ」の詩はまさにこの場所を歌ったものです。

さらに二百メートル程進みますと東郷寺の巨大な山門が現われます。黒ずんだ高層の建物です。ヴェネチア映画祭でグランプリをとりました黒澤明の「羅生門」はここで撮影されました。
門前には枝垂れ桜の大木があり、花の時期には大勢の人々で賑わいます。この道は緑の中をさらに続いて「車返し」にまで延びていくのです。

都医師会報掲載

樋口一葉界隈(かいわい)のウォーキング

<御茶ノ水駅前より 医科歯科大学を望む>

ある日、西国立にありますある料亭に立ち寄りますと、併設するギャラリーがありまして、そこの二階にあがってみますと、一葉の小説「たけくらべ」の原本が展示されておりました。朱を入れて加筆訂正が細かくほどこされている文章から一葉の息づかいが聞こえてくるようで圧倒されました。
一葉の略歴を見ますと19歳頃より小説をこころざし、23歳時(明治28年)に代表作「にごりえ」「たけくらべ」「大つごもり」などを次々と発表して頭角をあらわし、その翌年に24歳の若さで肺結核により急逝。早すぎる散り方に胸の痛みを覚えてしばし立ち止まってしまいました。そしてふと以前に読んだ司馬 遼太郎の「街道を行く」シリーズの「本郷界隈」に一葉の事が詳しく出ている事を思い出しました。

<神田明神>

御茶の水駅のプラットホームに立ちますと、神田川をはさんで東京医科歯科大学の建物群がそそり立っております。そこを右にまいて湯島聖堂の東側の坂道(昌平坂)をあがって行き、神田明神を経て湯島天神に至ります。早春には受験生でにぎわい合格絵馬がしだれんばかりにたれさがっております。
そこから東大の赤門まで歩き、さらに北西に延びるゆるやかな坂(菊坂)をくだって行きますといわゆる下町の景色が展開してきます。区教育委員会の案内板に従がって左に折れた所に一葉の旧居跡が残っていました。急斜面に建てられた木造三階の古びた建物でした。ホウキを持った隣家のおばさんに話しかけますと

<湯島天神>

「一葉はね、ここの二階に住んでいたのですよ。」
「へえー、で、この建物は当時のままなんですか。」
「そうですよ。中は改装されて人が借りて住んでますけどね。」
「え、どなたかが今ここに住んでいるんですか。」
「そこの井戸で一葉は洗濯をしたんですよ。」
「ここは戦災に会わなかったのですね。」

植木鉢のたくさん置いてある、なつかしさを感じる遠い昔の路地裏でした。

<東大赤門>

約3年後、一葉は生活苦から逃れるため吉原遊郭近くに転居し、小物を売る店を出しました。その頃の体験をもとにして「たけ くらべ」を「文学界」に連載致しました。吉原の風物をおりまぜて、そこに生活する少年少女達の人間模様が描かれます。遊郭の客や遊女、人力車、またその人達を求めて集まってくる大道芸人、あめ売りや三味線弾きなど。夕方になると吉原の門前はごったがえす、その様が活き活きと描かれます。

<樋口一葉旧居>

いつかは遊郭に入ることになるであろう少女美登利は、僧侶の道に進もうとしている少年真如に邪険にしながらも淡い恋心をいだく。片思いのかなわぬ恋のせつなさ。ある霜の朝、美登利の元へ一輪の水仙の花がそっと差し入れられていました。その明くる日、その少年が仏教の学校に入り出家していったのを伝え聞いたのでした。
純真な一葉の、夏目漱石も絶賛した最高峰の文学の余韻がいつまでも心に残ります。